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激動の1年を振り返って(附属幼稚園)
附属幼稚園副園長 村田 眞里子
コロナ禍など考えてもいなかった、ある日の園庭で...。「先生!いいもの見つけたよ」とA児がB先生を呼びに来た。
B先生「なあに?何だろう?」と後をついていくと、
A児「ほら~!」とウメの実がいっぱい落ちているのを、うれしそうに指差した。
B先生「あら~、ほんとだ」と一つ拾うと甘い香り。
B先生「いいにおいがするよ」
A児「ええっ、私も~」と鼻を近づけると、
A児「うわ~、いいにおい。おいしそうなにおい...」
B先生「そうねえ、これはウメの実なんだよ。ジャムやジュースにすると、食べたり飲んだりできるの」
A児「ふ~ん、飲んでみたい」
B先生「そうだねえ、C先生はウメジュース作るの、上手なんだよ」
A児「じゃあ、もっと拾おう!」A児とB先生がウメの実を拾っていると、
「何してるの?」とD児。
A児「あのね、C先生に、この実で梅ジュース作ってもらうの」
D児「いいなあ、僕も拾う」。
こうして、梅ジュース作戦は他の子どもにもどんどん伝わり、あっという間に何十個ものウメが拾われた。半月後、ウメシロップができ上がり、「みんなでかんぱーい!」と大喜びで味わった。
一人が興味をもったことが他の子どもにも広がり、わいわいガヤガヤ、ああでもない、こうでもない、と頭を突き合わせ、アイデアや考えが飛び交い、【遊び=学び】は深まっていく。こんな密な幼稚園の生活は、目にも見えない小さなウイルスによって、できなくなってしまった。2ヶ月の休園中は、入園できていない子どもたちに、幼稚園が楽しみなところになるように、担任の先生に少しでも親(ちか)しい気持ちが持てるように、と教員は、画像や動画を作って園児の家庭に送り、家庭での生活の充実を図った。暑さにもかかわらず、中止せざるを得なかった4、5歳児のプールの代わりに、例年は暑さで使えない3階屋上に人工芝を敷き、水栓の無い屋上でも水を使えるようにし、遊具やウォータースライダーで5歳児の水遊びの場を保障した。園庭では4歳児がふんだんに水を使い、暑い夏を積極的に楽しめるように、吹き上げシャワーなどでも遊んだ。
できなかったことを数え上げるとキリがないが、教職員みんなで知恵を出し合い、工夫し、保護者にも協力を仰ぎ、子ども運動会も遠足も何とか実現できた。Withコロナの生活はまだ続く。本園の今年度からの研究テーマ「幼児の生活と情報活動」とも関連させ、「幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ」という幼児教育の根本をなおざりにせず、ICT機器の活用も図りながら、豊かな学びが得られる幼児の生活を考えていかなければならないと考えている。
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