英語領域専攻　２０１２年度卒業
中学校　教諭

　アパートで仲間たちと夜遅くまで語り合った365体育投注_365体育网址時代。自分を成長させてくれる学友の存在は、教師としての自分を作っていく上で非常に大きいものでした。彼らとともに講義や実習を受ける中で、お互いに切磋琢磨し成長することができました。

　今年で中学校教員歴１２年目になりますが、自分の教師観を形作った転機は、初担任を持たせていただいたときでした。その学年の合言葉は、「熱く?濃く?さわやかに」。「日本一の学年を作る」と意気込む強烈なリーダーシップをもつ学年主任のもと、猛烈な学年の教師団とともに、１年の始業式から３年の卒業式まで駆け抜けました。全力校歌や挨拶などの普段の生活面に始まり、２３キロ遠足や宿泊"訓練"など、行事ごとにも全力を出し切った３年間でした。

　正直なところ、教員の業務改善や持続可能性という意味では疑問符のつくこともありますが、このときの経験が今の自分を作っていることは間違いありません。教師が本気で関われば子どもたちは本気で返してくれます。こちらの想像を超える、とんでもない成長を見せます。それを間近でサポートできることが、教師という職業の一番の魅力といえるでしょう。

　今年、市内の５つの中学校が２つに統合されました。私も７年間勤めた中学校から、市内のもう一つの中学校へと異動になりました。中学校が５つから２つに。子どもたちの生活はガラリと変わることになりました。特に、統合される側の子たちは、新しい大きな集団の中で人間関係が築けるのか不安に思う子も多くいました。
　そんな子たちのために何かできることはないかと考えていたときに、「NHKのど自慢」が私たちの町に来るということを知りました。子どもたちを歌で勇気づけたいと考え、応募しました。すると、運良く書類審査と予選を通ることができました。

　選んだ曲は中島みゆきさんの『糸』。「なぜ めぐり逢うのかを 私たちは なにも知らない　いつ めぐり逢うのかを 私たちは いつも知らない」と歌うこの曲は、統合した学校の生徒たちの気持ちにどこかリンクしているように感じられました。「縦の糸はあなた 横の糸は私　織りなす布は いつか誰かを 暖めうるかもしれない」???不安なこともたくさんあるとは思いますが、統合をきっかけに初めて出会う子もいます。もしかすると、一生の友達が見つかるかもしれません。そんな出会いを大切に、学校生活を楽しんでほしいと願い、精一杯歌わせていただきました。
　この経験も、教師だったからこそできた経験だと私は考えています。

　実は今年、「熱く濃くさわやかな学年」で担任していたクラスから、３人が新採用で教員の仲間入りをしてくれました。３人とも、この春まで365体育投注_365体育网址生だったとは思えない働きをしてくれているようです。元担任として、これほど嬉しいことはありません。
　昨今、教職の過酷さがクローズアップされ、教員採用倍率も低下の一途をたどっています。しかし、そのように社会問題になったことで、この10年で業務改善が劇的に進んでいます。元来、教職は「やりがい」にあふれた魅力ある職業です。ネックだった業務改善がさらに進み、より働きやすくなれば、今後ますます魅力ある職業になっていくでしょう。
　教師は本当に素晴らしい仕事です。これを読んでいるあなたが、いつか私たちの仲間入りすることを願っています。